初めに

NH-1Sは、従来のラインカーと全く違ったコンセプトで作られています。

開発にあたっては、約30年近く少年サッカーの指導を行っている中で不便に感じた点や疑問に思った点をどのようにしたら解決できるかということで、一つ一つ実際に物を試作し不便な所を改良していくことで現在の形に行き着きました。

この形の原型のライン引きは、サッカーの街「さいたま市2006年度ビジネス大賞」で優秀賞を受賞しております。

 

是非製品のコンセプトをご理解の上、上手に使いこなしてみてください。

 

1.まず最初に取っ手部分を組み立てます。

NH-1Sは、取っ手部分は組立方式になっています。

組立時には10mmのスパナ(ナット回し)とプラス(+)のドライバーが必要になります。お客様の方でご用意下さい。

 

構成部品は、取っ手部分がない本体と、取っ手×2本(片方には横棒組み立て済み)、ロック ナット×6個、取っ手用ボルト×1 が梱包箱に入っています。

 

取っ手部分のない本体部分です。予め取っ手を取り付けていなのは出来るだけ輸送時の梱包箱を小さくする為です。

 取っ手部(2本、片方には横棒取り付け済み)とロックナット(6個)、ステー×2枚、ネジ(1本) の写真です。

2.組み立て方

まず始めに、取っ手を取り付けます。この時本体を寝かせてから行うと比較的楽に作業ができます。

この時、取っ手の握り手が必ず外側になるように取り付けて下さい。取っ手の片側には横棒が固定されています。 反対側の横棒のネジ締めは最後に行って下さい。

 

まず本体側から出ている6箇所のボルトを、しっかり取っ手側のネジ穴に通して下さい。

 

次に付属のステーを写真のように2箇所、取り付けます。

ステー部の所のナット部分です。このネジはロックナットですので上下があります。頭が丸い部分が上に来るようにして取り付け、しっかり締めて下さい。ロックナットは全部で6箇所、いずれの箇所もしっかり絞めつけて下さい。

ロックナット6箇所の締め付けが完了しましたら、最後に取っ手部分の横棒のネジを締めます。

片側の横棒は予め取り付けられていますので、片側を参考にしてしっかりネジ締めして下さい。

 

※背の高い方が使用する場合は、一番下のボルトを使わず上部2段で固定する方法も

 あります。この様な取り付け方法を採用することで取手の地上高を95cmまで

 上げる事も可能です

 

 

全部品を取り付けた後の本体を後ろから見た完成写真です。

各部品取り付け完了後、本体を動かし車輪のガタつきがないか、ブラシは正常に稼動しているか、線幅調整機構は正常に作動しているか、なども併せて確認して下さい。

以上で作業終了です。

では実際に粉入れから始めてみましょう。

3.粉入れ方法・・・組立に問題がなければ、粉を入れてみましょう。

これが、従来の粉入れ方法の典型的な例の図です。

この図では「粉入れ容器」は大型のポリ容器ですが、学校などでよく見られる例では、床をブロックなどで囲み「粉入れプール」を作るなどの例があります。

そして粉入れ容器からライン引きに粉を入れるのは、図のような柄杓やスコップを使いますが、粉が脇にこぼれたり舞い散ったりします。特にこの方法は狭い石灰庫の中などで行うので目に見えない粉を吸い込む危険度が大変高くなります。ポリ容器などの場合は、容器を一旦外に出してから作業を行えば少なくと粉を吸い込む危険度は軽減されます。

ある程度力のあるスタッフが居る場合は、袋を持ち上げ上から流し込むような

入れ方をする場合もあります。この方法はNH-1Sに通じる入れ方ですが、袋の

重量は20kgあり、誰でも出来る方法ではありません。また脇からこぼれたり、粉が舞い散ることは容易に想像できます。

 

図のような専用の「粉入れ機」を備えている学校も数多くあります。

これを上手く使いこなすと大変粉入れが楽になりますが、最大の問題は、この

「粉入れ機」の中にまず粉を入れる作業が有るということです。20kgの重い

袋を目の高さ以上に持ち上げ「粉入れ機」の中に粉を入れる・・・・

そして相当広い石灰庫でないとこの種の道具は装備できないでしょう。

 

 

粉入れの詳しい説明は、前項「基本的な使い方(粉入れ方法)」に詳しく述べていますのでそちらをご参照下さい。

注意事項としては、粉入れの際は「粉停止板」が閉まった状態で作業を行うこと、そして大事なのは粉を入れ終わっても袋は絶対に抜かないで下さい、ということ。

このNH-1Sは、本体側には20kgの粉を入れて置くだけの容量を持ってません。袋は容器であるという考え方ですので、袋を抜いてしまうと粉がこぼれてしまいます。

そして湿気という点からも袋はあったほうがベターです。

勿論、残り少なくなった状態では袋を抜いても差し支えありませんが、敢えて最後まで抜く必要はありません。

4.線幅調整

NH-1Sの線幅調整は、従来のライン引きと全く異なる「平板スライド方式」という全く新しい機構を採用しております。

 

平板スライド方式というのは、従来のライン引きでは、粉だし口を塞ぐ板(兼線幅調整板)は全て曲面を動かす方式のため、薄い鋼板やゴム板を使っています。

その為、外部からの衝撃に弱く直ぐ変形などしてしまうため動きが悪くなる・・・つまり耐久性に難がありました。

平板スライドは、この板を2mm厚のステンレス製の板にして、強度をあげていますから外部の衝撃にも強い構造になっています。

そして最大の特徴は、3枚のそれぞれ幅の違う板の組み合わせで、あらゆる線幅が簡単に得られることです。その板の組み合わせは6通りであらゆる競技をカバーできます。

 

ところで、線幅というのは、単にその競技に合わせて使うということだけでなく、例えばサッカー競技のように12cm幅という非常に広い幅の競技などにおいて通常の練習時などにも12cm幅で白線を引くと、当然のことながら粉の使用量が増えてしまいます。

そこで、練習時は「細く・薄く」、公式戦時は「正規の幅・濃く」といった使い分けをすることで粉の使用量を大幅に削減できます。

是非、この線幅調整を上手く使って粉の節約を図って下さい。

 

なお、線幅調整の詳細は前項「基本的な使い方(線幅調整)」で詳しく解説していますので、そちらも参照してみて下さい。

5.正しい白線の引き方

一般的にグランドの白線は、ほとんどの方が無造作に引いていますが、厳密なことを言うと間違った線引きがほとんどです。野球やサッカーなどのように白線の内、外を厳密に判定する(ボールがオンライン上かどうか)球技の場合は、線を引く場合のポイントに対して(水糸・メジャーのあて方)白線をどの位置に引いていくかが大変重要です。

 

一般的なラインカーでは、ラインを引く際の基準をラインカー本体のセンターに合わせていることがほとんどですが、これは間違った引き方になります。

通常水糸(メジャー)は細い幅を持った物がほとんどですから、野球の7.6cmやサッカーの12cmの場合は、白線に対して当然水糸(メジャー)は白線のどちらかの端にある必要があります。つまりラインカーの進行方向の右側がインフィールド側だとすると(当然左側はアウトオブフィールド)、水糸(メジャー)は白線の一番左側と一致してなければいけません。反対にライン引きの進行方向左側がインフィールド側だとすると、メジャーは白線の右側に位置していなければなりません。これは野球やサッカーの様にある程度の太さの白線を引く時は重要なポイントになります。

このような引き方をする時、NH-1Sでは水糸(メジャー)と白線の端を合わせるのには、引き出した板の端と水糸(メジャー)を合わせれば容易に正確な白線が引けます。

このような構造のライン引きは今まで皆無でした。プロのグランド整備の方が白線を引く場合は、わざわざライン引きの前の部分に長く突き出した目安となる棒などを付けて引いているのが現状です。

NH-1Sは、このような物を一切装備せずに正確な白線を引くことが出来ます。

 

また大きなサッカーコートの様な場合は一台でコート造りをするとなると時間が掛かってしまいますから、

通常は複数台で白線引きを行います。この時重要なのはそれぞれが互いに正規な引き方をしているかどうかです。正規の引き方をすればどの位置でラインカーが重なっても白線がピタリと一致します。

これを互いにいい加減に引くと白線が合致しないチグハグな白線になってしまいます。

 

  ■正しい白線を引く時は水糸(メジャー)は絶対に必要な道具になります。

   水糸無しで真っすぐな白線を引くとは不可能です。

6.線の濃淡調整  各種ラインパウダーへの対応

一般的に白線の濃淡調整などは必要ないと思われています。

事実市販されているラインカーで、全ての線幅で白線の濃淡調整機構が付いているものはありません。

わずかに、一社から「学校の授業用」として最初から薄い線で白線を引く専用機が販売されています。

学校の授業として何故薄い線が必要かといいますと、授業内容や学年によって行う種目や競技が異なる場合、以前の線を素早く消す必要があるためです。

 

それともう一つ薄い白線が必要、というか薄くても良い場合があります。それは通常の練習時に引く白線です。ちょっとした紅白戦やミニゲーム等を行う時の線等も薄くても差し支えないはずです。

薄く線を引くメリットは、直ぐ消せるというほかに粉の節約が図れます。

粉出し口を半開にして引けば、当然全開にして引く場合の粉の使用量は半分になります。

 

そしてこの濃淡調整の応用として、色々なラインパウダーにNH-1Sを対応させる事が出来ます。

ラインパウダーの主力は現在タンカルと呼ばれる石灰を人体に無害に加工したものですが(昔はグランドの白線用として消石灰なども使われていましたが、軽いやけどなどの危険性があるため文科省もタンカルを使うように指導しています)、最近はECOの声を受け卵の殻や建築廃材の石膏ボードを利用したもの、それらを混合したものなど各種市販されています。今後どの様なラインパウダーが市場に出てくるか分かりませんが、それらの違いは「白色度」「湿気の吸い込み具合」「臭い」とか諸々の違いはありますが、ラインカー側から見ての大きな違いは「粉の比重やキメの細かさ(流動性)」などでしょう。

これは、当然同じラインカーを使った場合「粉の出具合」に影響します。

 

簡単な例で申し上げますと、通常のラインカー(一般的な物で、市場に出ているものは殆どこのタイプ)で卵の殻のラインパウダーを使うと、通常の倍ぐらい粉が出てしまいます。(これは私の経験値です) その為、通常のラインカーで卵の殻のラインパウダーを使う場合は、出口の穴の面積を半分ぐらいにしないと使えません。(私は、以前この種のラインパウダーを使った時はガムテープで穴を塞ぐという方法を取りました) 別の言い方をしますとこの種の粉は非常にサラサラしているといった表現になるかと思います。(私見です) このようなラインパウダーを使う場合は専用機を使うか、既にお手持ちのラインカーでこの種のラインパウダーを使う場合は、何らかの工夫が必要でしょう。

 

NH-1Sでは、特殊なラインパウダー使う場合は、前記の「粉の濃淡調整」を使うことで、あたかも専用機を使った効果が得られますから、改めて専用のラインカーを購入する必要もありませんし、今後いかなるラインパウダーが出てきても、完璧ではありませんがそれなりの性能を発揮して使用できます。

7.円弧を描く

4輪のラインカーは直線を引くには適していますが、小さな円弧を引くのを苦手としています。

例えばサッカーのコーナーアークは半径1mと決まっていますが、このような小さな円弧になりますと4輪のラインカーではなかなか上手く引けません。その為、コーナーアークを引く時は良く2輪のラインカーで白線を引くということをしますが、同じ線幅のものを揃えてあれば問題ありませんが、通常の2輪のラインカーは線幅が狭いので、厳密なことを言うと線幅が異なったラインになります。

 

その為、一部のメーカーの4輪のラインカーでは、後輪側に粉だしブラシを持ってきて「後輪排出機構」にしています。円弧を描く時は、前輪を持ち上げウイリー走行のような状態にして(2輪にする)円弧を描いています。 こうすることによって簡単に円弧を描く事ができます。

 ※NH-1Sは「前輪排出方式」、NH-104は「後輪排出方式」になります。

  その違いは、前輪非出方式は移動の際「ウイリー移動」ができますが、後輪排出方式ではウイリー

  移動出来ません。その代りウイリー状態にすることで2輪の動作モードが得られます。

 

NH-1Sは、全体の重心が極めて前輪に近い位置にあるため、コーナーアークのような小さな半径の円弧を描く場合は、後輪を持ち上げ前輪のみで引くことによって円弧も簡単に描く事ができます。

8.賢い使い方

このようにNH-1Sは今までのラインカーには無い数々の特徴を持っています。

線幅調整機構を上手く使った「ECOな使い方」もその一つです。そしてそれらの使い方が複雑では使いこなせませんが、お分かりのようにNH-1Sではこれらの機構が簡単な操作で済むというのも最大の特徴にしています。

 

さらにこんな使い方も出来ます。

大きなグランドで線引きの途中で粉が無くなってしまった・・・こんな時は今まではラインカーそのものを石灰庫まで戻し、粉を補充しなければいけませんでしたが、NH-1Sは袋さえ現場に運べばその場で粉を補充、切れ目なく作業を続けることが出来ます。

 

また作業中雨が降ってきてしまったような場合は当然作業は中止しますが、臨時措置として袋の上部を潰して袋と本体の間の隙間を埋めるようにして下さい。袋が蓋の役目もします。

9.日常使用時の注意事項

NH-1Sは通常の使い方と特に違った使い方として、地面に寝かせて粉入れを行うという独特の使い方があります。

 

・本体を寝かせた状態で上部から無理な力を加えることはおやめ下さい。

・粉袋を背板に載せる時は上から落とさず静かに背板に載せて下さい。

・後輪の車軸部分に足など乗せることはおやめ下さい。

・引き出したスライド板を強く下に押し曲げることはおやめ下さい。

・本体前部をゴールポストなどに強くぶつけることはおやめ下さい。

・本体内部にラインパウダー以外の物を入れることはおやめ下さい。

・本体を移動させる場合は「粉停止板」を「粉だし停止状態」にするか、

 ウイリー走行をさせ移動させて下さい。ウイリー走行をさせると回転

 ブラシが回ることがありませんから、ブラシを傷めない移動方法になり

 ます。移動の際はウイリー走行で移動することをお勧めします。

・本体を雨ざらしにさせると故障の原因になります。保管の際は必ず石灰庫などの中に収納して下さい。

・造作を変更しますと保証の対象外になります。勝手な造作変更はしないで下さい。

10.最後に

NH-1Sは、今までのラインカーの欠点を簡単な構造で克服しております。

どんな優れたアイディアの物であって、その使い方が複雑であったり、直ぐトラブルが発生するようなものであったら意味がありません。

 

NH-1Sは、手作りの木製のものから数えると約3年開発に要しました。

その間、色々な物を造っては壊し、造っては壊しを繰り返してきました。

例えば収納時によりコンパクトにするため後輪を折りたたみ式にするとか(こうすると収納時の床面積は2輪と同等)、また全体の重量を軽くするためアルミフレームにするとか・・・

結果、これらの構造では強度の保証ができない、ということで製作を諦めました。アルミフレームなどのものは、通常の使い方であれば全く問題ありませんが、例えば寝かせた時子供が上に乗って遊ぶ・・・20kgの袋を上から落としてしまう・・・こんな想定で実験しましたところ強度的に問題があるという結論で断念しました。

 

勿論、今のNH-1Sで全ての問題点がクリアできたわけではありませんが、試作機を約一年間自身の指導しているサッカー少年団で使用し満足できる結果が得られましたので発売に踏み切りました。

 

※NH-104はNH-1Sのコンセプトはそのままに小型化した製品ですので、主な機能はNH-1Sと全く同様です

 が下記の違いがあります。

 

             NH-1S           NH-104  

          

    標準使用袋重量   20kg              10kg

    線幅調整機構   6通りの線幅            3通りの線幅

    粉排出方式    前輪排出方式            後輪排出方式

 

 

 

 NH-1S NH-104 に関してご質問等がございましたら下記までお問い合わせください。

 

 

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